劇場版神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まない を見てきた。

基本的な内容は、予告編で予想出来る通り。
なんか微妙な出来臭いぞ、と予告編から感じ取った人はなかなかいい勘してると思います。


ストーリーは穴だらけ。意味不明な場面や流れ、リアリティを感じない箇所が多い。
役者の演技だって上手いとはいえず、一般的にいって並以下な方が大半を占める。
カメラだってサイタマノラッパーに毛が生えた程度、プロらしくは断じてない。
観客はそんな内容に親近感を覚えるわけもなく、ある一点を除いては共感することなく話が終わる。


ある一点だけ、その点だけは登場人物達と同じ感情を抱いた。
それは、「クソッタレな気持ち」。
クソッタレな状況クソッタレな野郎クソッタレなルールクソッタレな命令。
クソッタレな音楽。
正論では到底勝ち目ない相手で復讐なんて出来っこないしもうーーーーイライラする、その感情を観客に共感させること、それだけは完璧に出来ていたと思う。


それはかまってちゃんの音楽性、非リア充やネクラな雰囲気からのパンクロックという表現と合致していて、その積み重ねとシンクロして最後のライブシーンによって解放される、という感覚が素晴らしく気持ちいい。


もっとも、その音楽によってなにかが大きく変わるわけもなく、世界が平和になったり自分の人生が上向きになったりリア充になれたりする、そんな事は起こりえない。
でも、音楽で、何か小さなことでも大事なことへ、背中を押してくれるくらいの些細しかしゼロではない力が働くことはあるよね絶対。


だってそうだろ?いい加減クソッタレな中身だけど、音楽でこんなに奮い起こされるのだから!


そんな映画でした。
勿論、憤懣以外の感情を共感させない内容だということは計算済みだと思うし、全体に漂うシロート臭さというか駄目っぽさというか、所詮低予算のアマプロ映画だろ?と思わせながら終盤で脱ぐベール。この快感は相当な物。
サイタマノラッパーでは最後まで現実を突きつけて終わったが、この映画では最後の最後で派手でフィクショナルな演出が起こる。それは普通の映画からしたらショボくて盛り上がるレベルのものじゃないんだけど、この映画の流れからでは絶頂感の付加に強い一撃を与えられている。すげーかっけーよ!


つまりなんだ、傑作ですよ。


「人生応援ソングってどう思いますか?」の会話がサイコーだった。
彼氏のクズっぷりもサイコー。
PTAのあのウザさ。
武力で論に従わせようとするオヤジ。
合コンのチャラさ。

不快にさせるポイントだけは真芯で打ってくるあたり格好良すぎです。


あと、あるてぃめっとレイザー!かっけー!