最近(半年以内)読んだ本。

夢を与える

夢を与える

綿谷りさの新作。インストール、蹴りたい背中、と来てるから今回も独特の青春モノか、と予想していた。
ところがどっこい、主人公が病む話とは。ここまで重い話とは思わなかった。
ストーリーは、幼児期から可愛かった主人公が赤ちゃんモデルになるところから進み、子役、アイドル、役者・・・と続いていけば良いのに、と思わせる内容。実際はアイドルと役者の中間で終了。色々な意味で。死にはしない。
上のストーリーだったと考えると、正直ケータイ小説のような内容だったなと思うが、そこは直木賞を得た筆力で。殆ど不快感無く主人公に感情移入できるのは、ケータイ小説との圧倒的な力の差かな。終盤で愛に病んでいく主人公は、怖かった。ヤンデレなんていう同人系とは段違いな恐怖。
まあまあ面白い。
薄闇シルエット

薄闇シルエット

半年くらい前かな、読んだのは。傑作だ、と思ったのを覚えている。
ストーリーは、三十路を越えて仕事は順調になってきたが、自分は本当にこれをしていきたいのか?と疑問符を感じ、妹や母親の人生について考えながら、どういう生き方をしていけばいいんだろうか、と悩む話。
作者の角田光代氏は「対岸の彼女」の時もだったが、女性としての悩みを中心に置いて話が進むので、その悩みに共感しないと主人公にも共感せず、結果的にその話自体に面白さを感じられないまま終わる、と思った。実際「対岸の彼女」の際は、面白くなかった。
でも今回の話の軸は「自分の曖昧な未来像への怖さ」と「母親は何を思いながら日々を過ごしていたのか」についてを明らかにしていくコトで、男性からも共感できる普遍的なテーマだったのでは、と思う。
そして後者への答えについては、感動した。目から鱗モノというか、実際は皆がそのような考えでなかったとしても、一つのケースとしてそういう考えを持ちながら家庭を作っていくのか、というのが新鮮だった。
前者についての答えも、上向きなハッピーエンドで終わって後味も良し。
素晴らしく面白い。



ただamazonレビュー見る限り、皆が手放しで褒めてるワケじゃないみたい。


読んでた本の蓄えを使い切った。