ワンピース フィルム ストロングワールドを見てきた。
ネタバレは極力避けてます。


http://www.onepiece-movie.com/home.html


素晴らしい出来だった。
「オトナ帝国の逆襲」や「戦国大合戦」のような万人に受け感動させるような映画ではないが、ワンピース読者という極めて大きなマイノリティを狙って作ったのが大成功した作品だと思う。


何より良かったのが、キャラクターのセリフ。
喋る内容や行動とキャラクターの設定のかみ合わせに全く違和感がなかった。
二次創作でよく起こる原作との違和感は以前の劇場版やテレビシリーズでさえも感じられたのだけど、それが本当にない。
原作者が監修しているから当たり前なのだけれど、劇場版なのに原作、一次創作であるという不思議な感覚に感動した。


また、キャラクター同士の関係にも同様の感想を持った。
ある特定のキャラクターのみに助けを求めたり、恋愛関係を感じさせるほどの過剰な感謝を示すことも無い。
あくまでも皆はワンオブゼムであり、フェアな関係であるという原作の感覚がそのままで、気持ちいい。


続いてストーリーについて。
「ナミがさらわれた」設定はファンにとって空島編を思い出させるし、「最強クラスの敵と戦う」のだって原作で何度もあった。他にもストーリー上には明らかに原作にあった出来事に似た事象をいくつも示される。
それによって観客のデジャヴ感を感じさせたところで、それらを逆手にとったストーリー展開。しかしキャラクターの言動に違和感は全く無く。素晴らしい。


そして作画。
ポニョほど神がかってはいないが、しかし冒頭から激しく動いて観客のテンションは高まり、終盤になるともっと動き出す絵が最高に楽しい。
特に最後の戦いで、「オトナ帝国の逆襲」でのタワーを駆け上がる場面と似た演出があったのには、楽しすぎて涙が出た。
またゴム人間が様々に体を変形させて技を繰り出していくのも、テレビシリーズを殆ど見ていない自分にはすごく新鮮味があった。


またオマージュと思わしき事も色々あり、村を背にに立つ仲間たちはKurosawaだったり、ゴリラ+美女+タワー=だったり。
落ちていく大きなものの描写が明らかにアレだと思わせたところで、そこでのセリフにも聞き覚えがあったりして、やっぱりアレかよ!と思ったり。


その他の要素も素晴らしかった。
音楽の田中公平ともう一人(申し訳ないが失念。ググッても出てこない。というか公式サイトに監督名すら書いてないって何なの?)は共にいい仕事をしてたし、声優陣だって文句なし。ゲスト声優の竹中直人パトレイバーイノセンスでお墨付きの演技。その他二名は片方が下手だったが10秒程度だったので良し。もう一方はどこで出たのかわからなかった。
舞台の設定はシャボン島と同じくらいワクワクさせる出来で、ギャグだってキレが良かった。
流石は制作総指揮といった感じ。


本当に良く出来た劇場版であり原作だった。
これがワンピースだという冠が無ければ、出てくる設定が多すぎて説明だらけになってしまうし、ギャグだって意味不明。
この詰め込み過ぎくらいの内容を二時間で抑えた設定の集合体、ワンピースはやっぱり凄い。
そして尾田栄一郎は天才。


現行連載を読んでる人は絶対に見に行くべき。
絶対に。